寄る辺ないモノたちを繋ぐマーケット - RDJM

国道沿いの大型マーケットに行くと食料品から電化製品まで、実に様々な商品で溢れかえっている。
それらピカピカの商品や隅々まで行き届いたサービスは、私たちの生活に快適な彩りを与えるだろう。

その一方で、利用価値の無いモノ、誰にも顧みられないモノもまた、
日々生み出され続けている。

廃棄物処理場で灰になることもなく、また、修理修繕されて、再びリサイクル商品として店頭に並ぶこともない、
ただただ、利用価値の無い、見捨てられたモノたち。

それは、云わば、ゴミやクズやジャンク、などと呼ばれるモノたちである。

鈍い光を放つそれは、あなたの毎日の暮らしを快適に彩ってはくれないかもしれない。
巷に溢れる商品のように、利便性の高い道具、コストパフォーマンスの良い娯楽、を与えてはくれないかもしれない。
しかしながら、私たちRDJMは、このゴミやクズやジャンクを『焦土からの遺物』として、我々の商う唯一の商品として、丁重に取り扱っている。

利用価値が無いという事は、あらかじめ定められた利用価値に束縛されない、という事だ。
『焦土からの遺物』の不確かさは、あなたに少々の不安や昂りを感じさせるだろうか。
いずれにせよ『焦土からの遺物』に何を見出し、どう扱うのかは、あなたの自由だ。
束の間、あなたはそっと、自由だ。



”あなたはそっと見つける



クロックとクロックの谷間 に 輸送トラックの薄暗い荷

台 に 網目状にからまり走る葉脈のひと筋 に 呼吸をみ

だす恋人の膚 に ポップアップで遭遇したアフィリエイ

ト に モランディの群れをなす静物 に 気の緩んだ政治

家のステートメント に スズメバチと蘭に見いだされる

交合 に バイエルピアノ教則のちいさな音符 に 平面図

にあらわれる白いデッドスペース に 厚い氷河から離れ

つつある氷塊 に ここまでのことばの連なり に そっと



あなたは見つける

おびただしい数の 数の沃野を”



利用価値から解き放たれた寄る辺ないモノたちが、自由に繋がり合う。
そんな公正な関係の内に愛が落ち着くのだ、と信じよう。

Rust Dust Just Market
『錆屑の公正な市場』

この奇妙な市場の事は、RDJM(ラドジャム)と愛着をもって呼んでいただきたい。